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『「無常先進国」ニッポン──AI時代を先取りする、日本仏教と日本人の世界観』

著:平野 純
刊行日 2018/5/1
四六判ソフトカバー。299ページ。本文1色刷。
ISBN978-4-903063-83-6 C0015
1300円(税込1430円)


芥川龍之介も見抜いていた、

日本人の生き方の根幹をなす思想「無常」。

(=物事は常に変わりゆく。

だから考えても仕方がないことは考えない。)

 

この仏教的な思考法こそが、

変化と不安定が当たり前になった現代を

生き抜く上でのカギになる。

著名IT起業家も行動原理にしている

無常思想を知り、

活用するための案内書。


 

<著者紹介>
平野 純(ひらの・じゅん)
作家・仏教研究家。1953年東京生まれ。東北大学法学部卒。
1982 年「日曜日には愛の胡瓜を」で第19 回文藝賞受賞。
作家活動と並行してパーリ語、サンスクリット語等を習得し、
仏教(特に仏教理論と現代思想の関わり)を研究。
最近は「IoT、AI、VR 等のテクノロジーと仏教」をテーマに執筆している。
著書
『はじまりのブッダ』(河出書房新社)
『謎解き 般若心経』(河出書房新社)
『村上春樹と仏教』I・II(楽工社)
『裸の仏教』(芸術新聞社)
『ブッダの毒舌』(芸術新聞社)他多数

 

目次

 

はじめに 3

第一部 日本人の知恵、「考えない生き方」 15


第一章 ● 「無常先進国」の幕開け 16
PTG(トラウマ後成長)とは 16
日本を襲う「千年ぶりの地盤の動乱」 18
噴火で富士山がM字型に!? 20
それでもニッポンが滅びない理由 23
日本人の「考えない生き方」 25
日本人はPTGの達人か 27
戦国乱世に完成した日本人の「生き方革命」 29

第二部 「無常先進国」はいかに生まれたか 33


第二章 ● 日本人の「生き方革命」はいろは歌に始まった 34
芥川龍之介が見ぬいた「いろは歌」の秘密 34
歌は世につれ世は歌につれ@A 36
「色は匂ほへど散りぬるを」 40
「いろは歌」をめぐるミステリー 42
歌の作者はどこの誰なのか 44
稀代の宣伝マン「知識人X」による洗脳工作 47
日本語を「無常思想」で染めあげた天才 50
「日本語創造の瞬間」という千年に一度の機会 52
「日本に仮名はない」太安万侶の嘆き 54
発動された「知識人X」の野望 57
「諸行無常」を日本人にインプットした明治の学校教育 59

第三章 ● 中世の遊女たちが広めた「とらわれない生き方」 65
中国人が感じた日本人の「禅味」とは 65
仏に逢えば仏を殺し、親に逢えば親を殺せ! 67
「一切のとらわれからの解放」が人生のゴール 69
「神様かまうな、仏はほっとけ」 71
神仏は「いるかのように」拝むのが正しい 74
「生き方」に関する五百年革命 77
ただの「流行歌」ではなかった「いろは歌」 79
「いろは歌」は無常観の論理を解体した! 81
「無常観」から「無常感」へ 84
「いろは歌」に隠された翻訳の秘密 86
仏教の修行を大胆に否定した「いろは歌」 89
「瞑想なんてどうでもいい」のか!? 92
「いろは歌」にみる超訳の論理 96
もし秋元康が平安時代に生まれていたら 98
「聖」からの事実上の離脱宣言 100
「遊びをせんとや生まれけむ……」 103
「いろは歌」は遊女たちの嬌声に乗って 106

第四章 ● 「あの世を語らない」禅の教えが日本人を変えた 109
日本の中世は民衆文化の胎動期 109
日本人が一番「ものを考えた」十三世紀 111
「考えない生き方」のルーツは鎌倉の新仏教 113
禅の精神の時代が到来する 115
「霊魂の不滅は愚か者の考え」(道元禅師) 118
「極楽も地獄も人の心の中にある」! 122
地獄が虚構になったのは中世から 125
「あの世」の考えを否定する 127
日本人の「現世至上主義」が確立する 130

第五章 ● 「憂き世」から「浮き世」へ 134
鎌倉武士が禅に帰依した切実なワケとは 134
「死後のことは死んでみなければわからない」がブッダの立場 136
「神などにたよるな」と説いたブッダ 138
歴史上の革命にみる二つの型 142
「考えても仕方がないことは考えない」 144
「死ねば罪など消えてなくなる」という思想 146
ポジティブな「諸行無常」への転換 149
『閑吟集』――?一期は夢よ、ただ狂へ 151
「浮き世の精神」の誕生 155
日本人は近代の脱宗教化を先取りしていた! 158

第三部 AI革命が開くグローバル仏教の時代 163

第六章 ● 「世界は仮想現実」という仏教の教え  164
ドッグイヤーからマウスイヤーへ 164
「無常先進国」の本領が発揮される時代 166
AI時代がもたらす「ゼロ化のブレイクスルー」 169
日本の近未来に関する予言 171
「無常」の原理としての「ゼロ」 174
いまこそ求められる起業家のマインド 177
堀江貴文(ホリエモン)、「諸行無常」を語る 179
スティーブ・ジョブズもはまった「ZEN」 182
時間も空間も「ゼロ」という思想 186

第七章 ● 仏教的世界観に近いシンギュラリティ仮説 190
シンギュラリティとはなにか 190
指数関数的な加速の時代へ 192
シンギュラリティと「空」思想の理論的接点 194
世界はマーヤー(幻影) 196
ポケモンGOのヒットを仏教から読み解くと 198
3D(three dimensions)テクノロジーについて 200
初音ミクはなぜ日本で生まれたのか 202
ビットコイン(bitcoin)の狂騒曲 204
仮想通貨が体現する「空」の原理 207

第八章 ● IoTネイティブ―「空」(ゼロ)の世代の登場について 212
IoT社会――人とモノとの境界の蒸発の現実化 212
日本のヒューマノイド型ロボット文化と仏教 214
人と無機物の区別を認めない「空」思想 216
インド化する世界! 『プロジェクト・ゼロ』発足のニュース 222
西洋では異端の数字だった「ゼロ」 227
VRの進化が「ゼロの汎神論」の世界を招く 231
ボーダーレス社会と「ゼロの汎神論」のメカニズム 234
日本3・0と仏教――「空」の変動態の世界 239
コスモジャポニズム時代の第四次産業革命 243
ゲノム編集技術「クリスパー」と仏教 246
IoTネイティブ世代の人生戦略 248

第九章 ● ポストヒューマン時代の仏教 252
ポストヒューマンとグローバル仏教の親和性とは 252
ロボ婚(ロボットとの結婚)時代が到来する 260
IoT社会の葬儀――「ゼロ葬」 264
「Gゼロ」の世紀は仏教の時代 266
グローバル仏教はポピュリズム志向 270
「web社会の知」とグローバル仏教 272
スマホと仏教 275

おわりに AI時代の仏教――その未来にむけて 280

主要参照文献 291
参考文献 297

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