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『ダニエル・カーネマン 心理と経済を語る』

著:ダニエル・カーネマン (プリンストン大学名誉教授)
監訳:友野典男 訳:山内あゆ子
刊行日 2011/3/3
四六上製(188×130)ハードカバー。234ページ。 本文1色刷。
ISBN978-4-903063-48-5 C0033
1900円(税込2090円)

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専門知識のない読者でもわかるように

図や注も充実させた、

行動経済学とカーネマン入門の決定版。

 

「ノーベル賞を授与された研究は、エイモス・トヴェルスキーとの協力によって導き出されたものです。私たち二人は、研究を進めようと、ひっきりなしに話し合っていました。[中略](経済学においては)最終的な富の水準が"効用(満足度)の担い手"であるという仮説は、さほど疑問を持たれることなく受け入れられてきました。ハリー・マーコウィッツは、効用の担い手は現状に対する「変化」であるとしましたが、それはスケッチにすぎませんでした。そしてこのアイデアをもっと基本的なところから詳述したもの、つまり効用の担い手は「変化」であり得失であって、富の絶対量ではない、というのがプロスペクト理論であり、それがノーベル賞を受賞した研究の中心なのです。」(本文より)

 

<著者紹介>

ダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman)

 心理学者。プリンストン大学名誉教授。2002年ノーベル経済学賞受賞(心理学研究から得られた洞察を経済学に統合した功績による)。

 1934年、テル・アビブ(現イスラエル)に生まれ、フランスで育つ。1948年、英国委任統治領パレスチナ(現イスラエル)へ移住。ヘブライ大学で学ぶ。専攻は心理学、副専攻は数学。イスラエル軍での兵役を務めたのち、米国へ留学。カリフォルニア大学バークレー校で博士号(心理学)取得。その後、人間が不確実な状況下で下す判断・意思決定に関する研究を行い、その研究が行動経済学の誕生とノーベル賞受賞につながる。近年は、人間の満足(幸福)を測定しその向上をはかるための研究を行っている。著作多数。より詳しくは本書本文第2章「自伝」および年譜を参照。

 

<監訳者紹介>

友野典男(ともの・のりお)

1954年埼玉県生まれ。早稲田大学商学部卒業、同大学院経済学研究科博士後期課程退学。明治大学短期大学教授を経て、2004年より明治大学情報コミュニケーション学部教授。専攻は行動経済学、ミクロ経済学。主な著書・訳書に、『行動経済学──経済は「感情」で動く』(光文社新書)、『慣習と秩序の経済学』(訳書、日本評論社)などがある。

 

<訳者紹介>

山内あゆ子(やまのうち・あゆこ)

翻訳家。早稲田大学第一文学部卒、シカゴ大学大学院人文学科修士課程修了。法政大学、日米会話学院他で講師も務める。戯曲「エドマンド」の翻訳で第13回湯浅芳子賞受賞。訳書に『ある広告人の告白[新版]』『「売る」広告[新訳]』(海と月社)、『ダルフールの通訳』(ランダムハウス講談社)など。著書に『会社で使う英語表現集』(共著/ナツメ社)がある。

 

目次

 

監訳者解説 友野典男 

 

第一章 ノーベル賞記念講演 限定合理性の地図 

・本講演の三つのテーマ 

・知覚が、直接利用できる特徴と、直接利用できない特徴がある 

・直感は高度なことをするが、系統だったバイアスやエラーも犯す 

・知覚の特性1──「変化」に集中し「状態」を無視する 

・単なる賭けと、財産を考えに入れた場合の賭けでは、好まれ方に違いが生じる 

・ベルヌーイの偉大なアイデア──賭けは期待される貨幣の価値(金額)ではなく、期待される心理的価値(効用=満足度)で評価される

・ベルヌーイの誤り──賭けをする者は現在の富と未来の富の状態を「比較」して効用(満足度)を測る

・プロスペクト理論──効用(満足度)を決めるのは「変化」であって、「状態」(富の絶対量)ではない

・心理学的な誤りが経済学で使われてきたのは、経済主体は合理的とする説に合致するから

・無差別曲線の欠点──富の最終的な量は示されるが現在の状況は示されない

・知覚の特性2──足し算をすべきときに平均値を求めてしまう

a 一つのグループになった物を評価する場合

b 一連の観察結果の証拠を評価する場合

c ある人が、あるグループもしくはカテゴリーに属すかどうかを判断する場合

d あるエピソードを評価する場合

・まとめ

 

第二章 自伝

・ダニエル・カーネマン 年譜

・幼少期

・青春時代

・軍隊経験

・大学院時代

・プロになるためのトレーニング

・エイモス・トヴェルスキーとの共同研究

・一九七四年「サイエンス」誌の論文と合理性論争

・プロスペクト理論

・フレーミングと心の会計

・行動経済学

・その後

・エイモス・トヴェルスキー追悼(一九九六年六月五日)

 

第三章 効用最大化と経験効用

・序

・現在の感情状態の影響

・選択状況の影響

・過去に学ぶ

・適応の予測の誤り

・コメント

 

第四章 主観的な満足の測定に関する進展

 

・主観的経験の測定原理と、実験室での測定

・生活上の満足と幸せについての調査

・生活上の満足に関するデータが有効な証拠

・時間の使い方の評価

・適応の謎

・社会における幸せの測定──U指数

・まとめ

 

参考文献

原注

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